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旭川荘の50年

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設立趣意書

社会福祉法人旭川荘設立趣意書

 財団法人川崎病院はその寄附行為第二条の目的及び第三条の事業に規定されている諸事業の一部として総合的な社会福祉事業を別記の如き企画に於いて行わんとす。近代社会福祉事業の特長は公的扶助の性格が濃化したことにあるが、その反面被扶養者の取扱いに於いて愛情の欠け易い欠点があり、また時々刻々に変化する時代と社会の要求に応じ切れないうらみがある。かような欠陥をともなっているにもかかわらず時代の切実を要求により公的社会福祉事業は終戦後国家責任感の成長と共に発達して来たが、それには自ら限度のあることが判明した。
 一方個人の恣意による私的社会福祉事業も益々発展して来た。公的社会福祉施設の欠陥を補うため私的社会福祉事業を更に発展させる必要があるが、その基本的立場は昔流の慈善博愛の事業ではなく社会共同責任観念の自覚と発達に促されたところの、いわば公的性格を持った私的事業でなくてはならない。
 現在公的福祉施設は限られた階層の救済に主力を注がれているが、それのみでは我が国民の福祉は決して解決されないし、また社会福祉事業は救貧事業ではなく社会全体のために行われるべきと考えるが故に、地域社会が要求する諸問題を鋭敏に感知しそれを認識し、社会的使命を自覚する立場から、本事業の基本的方向を決定して出発させたいのである。
 而して社会福祉事業の発展は社会の民度(文化)の高さに比例するが故に民度が高くなれば認識する問題は多くなる。

 それに答え解決する力を与える責任が私共にありとの使命感に生きる同志が茲に相謀り多方面の社会的協力を得て新しい総合的社会福祉事業を実現させんと開拓者的計画を夢みている。此の意味に於いて私共は開拓者であり、精神的であり、能率的であり、従って模範的であり得る確信を持つものである。
 元来人間は不平等に生まれて来ているし、何日何時不幸に見舞われるかも判らず、又は個人の欠点及び其の責任に於いて招来しない文明の生む不幸もある。文化程度が高くなると今迄平気でいたことが不幸に感じられて来るが、之等の問題の認識に立って問題や要求の解決に当りたいため或は全部が全部社会事業法に合致せずともこれは私共の良心的手腕によりて現今社会にある不安と冷遇の問題を発見し、現行の社会福祉事業の不備不足の発見とその拡充対策を計画したい念願である。

 敢言せば私共は現行社会福祉事業の発展充実策を実践しようとして広く関係者の協力を得て本県に於ける問題が調査され測定されて真に解決される必要が明らかにされて企画立案され従前の如き直感や漠然たる要望や思いつき等による部分部分の成果だけで考えられた欠点を改めて全体社会としての「必要」を常に基準として、それをより多く充足しようという意図と努力を以て総合的に、計画的に、相互連係協力して、組織的科学的専門的な方途を以て最も能率的に、効果的に本県に於ける社会福祉の問題を解決するために必要な社会資源を動員活用したいのであり、私共の取組んでいる問題とその対策を広く一般人士に理解し支援して欲しい悲願を立て、未だ我国に其の類を見ざる総合的社会福祉事業を建設せんとするものである。本事業は左記の如く社会福祉法入組織の準備中であるが、その認可を得る迄、先づ財団法人川崎病院の事業の一部として発足するものである。

一、名   称   旭 川 荘(仮称)
二、組   織   社会福祉法人(設立準備中)
三、所 在 地   岡山市祇園地先旭川筋(面積約 69,507,94坪)
四、代表者氏名   川ア祐宣
五、事業計画
1.児童福祉に関する奉仕活動
2.老人福祉に関する奉仕活動
3.保健衛生に関する施設の建設
4.青少年のリクリエーションに関する奉仕活動
5.立体農場の建設
6.其の他必要と思われる福祉活動
六、資金造成の方法
1.財団法人川崎病院よりの寄附金
2.一般よりの寄附金
七、事業開始予定年月日
昭和廿九年  月  日
八、事業完成予定年月日
昭和丗九年  月  日
 この総合社会福祉事業施設の構想は下記の通りである。
即ちこの総合施設の配置を決定し年次計画を樹立して緩急度に於いて考慮し、必要度の高きものより漸次結実させる。
1.事務局
 事務局は諸施設の中心をなし、放送設備、講堂、中央娯楽室、図書室、浴場、売店、ガレージ、中央炊事場、洗濯場等総合的な設備を包含する。
2.中央診療室
 中央診療室には各科の診療部門を設け、特に整形外科、小児結核科、老人科の三科は設備を完備し専門医を常勤させ、専門医学の研究と診療に当る。
3.田園都市建設
 この地域の都市計画は各施設の性格を考慮して基本的総合的目標を立てる。全地域を農園、牧場、果樹園、花園、運動場、緑地帯、養魚池等に配分して高度の立体農場を試みる。

 各施設の建設<位置>は、それぞれの性格を考慮して別図のように配置して各施設間は道路網を完備する。

 これらの総合計画はそれぞれの専門家に依頼して能率的、美的且つ愛情に充ちた建設計画を立てる。例えば道路建設に当っても街路樹の如きも、クルミ、ペカン、栗、桃、蜜柑等を植えて「クルミ通り」「ペカン通り」などと呼称する。
4.肢体不自由児施設
 児童憲章第11条に「すべての児童は身体が不自由な場合又は精神の機能が不充分な場合に適切な治療と教育と教育と保護が与えられる。」とあるのに身体が弱く特に先天的又は外傷、切断、カリエス、関節炎、小児麻痺等後天的原因のため肢体が不自由であり、日常の動作に支障のある児童の現在の取扱いはどうか。彼等に発言権も発言力もないだけに全く放任状態である。(昭和28年7月分社会福祉統計月報27頁)肢体不自由児施設は我国に於いて10ヶ所あり岡山県にはない。而も我国に於いて肢体不自由児の総数は68,074人(昭和26年度県衛生部母子衛生係調査岡山県で2,661人)で収容保護を必要とする児童は、8,067名(社会福祉読本P.63)で前期の月報によれば収容児童は全国でわずか、479名にすぎない。

 肢体不自由児も適切な整形外科的治療を受ければ平常な児童となり得るものが数多くいる。彼等に対して日進月歩の医術を施すのは私共の聖き義務である。

 故に前述の医療機関に直結した肢体不自由児を入所させる施設を起し、彼等の日常生活の指導、医療及び職業補導又は之等の児童のうち学校教育法第23条の規定により、就学を免除または猶予された者に対する学習指導等を併せ行い機能訓練を施し、児童福祉法の最低基準に準拠した設備をなして機能の回復を計って職業能力を授与し、治療しながら普通義務教育の課題を修得させ、ひがみや劣等感を一掃して適性を伸展し、将来独立自活の出来る人間に育成したい。なお、附属機関として、肢体不自由児養育相談所も設置す。

 其の他肢体不自由児養育思想の普及や、肢体不自由児に関する調査研究―肢体不自由児療養指導者及び関係者の養成訓練もしたい。
5.小児結核患者収容施設並びに身体虚弱児施設
 身体虚弱児や患者に願わしい環境と適正な医療を与えてその健康の快復や増進を計るを以て目的とす。又T.Bの家庭幼児を早期に入所せしめてプリベントリュウム的使命を果す。我国に於ける小児結核専門のサナトリウムは数箇所にすぎないが、虚弱児施設は15県にあり、収容児童数、823名(前記月報)である。小児のためのサナトリウムの必要なことは明らかに緊急である。保健タイムス昭和29年3月23日号によると(P22)乳幼児ツ氏反応陽性者163%で予防措置が緊急であるが、要医療は乳幼児の1%ツ反応陽性者に対する要医療の率は全年層中最も高く7.5%で感染即発病の危険がある。乳幼児の結核死亡率は高いし入院を要する者全国で3万人、之は要医療の21%、学童はB.C.Gの普及でツ反応陽性率は最高で全結核有病者は41万人学童の2%、うち要医療が24万人学童の1.2%もある。而も入院を要する患者は約5万人(青少年のツ反応陽性率は70%に固定し患者は127万人で青少年の5.7%、要医療87万人要入院40万人。)此の調査の結果新事態が明るみに出たし対策に当然修正を要し、小児結核の早期発見早期治療の必要が痛感されるのに本県下にこの施設がない故私共は此の模範的なサナトリアムを建てる。なお、この施設に於いても肢体不自由児と同様教育的に必要なる措置は遺憾なく設備され篤志教師による義務教育の完成は期されている。
6.精神薄弱児収容施設の治療教育院
 先天的な原因により、又は生後比較的に早い時期に脳の障害をうけたために精神的機能の発育が停滞している不幸な児童は多い。(一般に児童100人につき、2.5%の率を占めている。)

 私共は格別に医学の立場から精神薄弱児の医療のために、精神病院に類した病床をもち、優生保護対策として遺伝性の精神薄弱者に対する優生手術の実施や、母子衛生対策をなす。

 他面早期発見、早期治療の適切な対策の強化を計り、彼等の大多数は適切な保護のもとに教育と医療の機会さえ与えられれば、十分其の能力を発揮し、将来社会の一員として自活する事は必ずしも不可能なことではない。現在我国の精神薄弱児は80万人と推定(1954年厚生省版児童の福祉P43)、そのうち施設に入所させる必要のある児童の推定数は34,700人で、而もこの大部分の福祉の保障は、従来極めて限られた少数で、不遇な環境に置かれている。このことは、ただに本人のみならず国家社会にとっても大きな不幸なことであるので、私共は強力に治療教育院の如きものを創設し、科学的に、技術的に、特殊教育をしたいのである。
7.保育所
 児童憲章にもあるように、すべての児童は、家庭で正しい愛情と、知識と、技術をもって育てられることが最も望ましいことであるが、現在の如き社会的、経済的な条件の下に於いては、生計を維持するために夫婦共稼ぎをしなければならぬ家庭の数も著しく多く、之等の家庭の児童は、一般家庭の児童に比べて十分な保護養育をうけられない状態におかれている。

 又保護者の疾病のため、或はその環境が適切でない等のために、保育に欠ける児童の数も少くないのである。之等保育に欠ける児童(特に私共は日雇労務者を対象として計画しているが)の福祉を計るために、日々之等の保護者の委託をうけて、乳幼児を保育所バスが迎えに行き(公共職業安定所か、その集合職場へ)、保護者に代って保育することを目的とする。又或る児童は両親の依頼によれば週間は施設内に収容し、週末にバスで両親の下にそれぞれの家庭へ帰えし、土、日曜日はその家族と生活させる週間保育所の如きも経営したい。この敷地内には保育所建設の理想に叶う環境の適地がある。
8.老人ホーム
 敗戦後家族制度の変革があり、社会保障制度の要望により養老事業の必要性が急激に認められた昭和26年末我国に於いて公営131、私営97、計228施設の養老院があるが其の後の建設も公営が増加している。社会事業法に於いて養老院を「老衰のため独立して日常生活を営むことの出来ない要保護者を収容して生活扶助を行うことを目的とする。」とあるが公的扶助の施設は公営でさせ私共の必要としているこの老人ホームは俗称有料養老院である。勿論附設で社会事業法による養老院も経営したいのだが私共先ず公的扶助を受けられない中産階級以上の老人のために有料養老院を建設したい。

 現在我国の養老院の大多数は医療の恩恵を拒否している昔ながらの老人ホームで老人に必要な栄養を補給し老人病のため次第に心身共に衰弱してゆく墓場への雨宿的生活というのが現在の養老院の実状である。私共の老人ホームは老人に必要な栄養を補給し老人病の治療をなし環境の調整、信仰、趣味等を通して親和性を増し若返えさすがために適宜の作業として牧畜、漁業、果樹農業等を営ましめ家庭の幸福の再延長たらしむべき雰囲気を生ぜしめる。斯くて敬うだけでなく愛する心もて老人の福祉を図る。

 有料ホームは我国に2箇所しかないが私共は此の施設に於ける誇れる特性として次の性格を持たせる。即ち老人には完全なる健康者は少い。私共は所調「老人病」専門の医療設備を完備した医療機関を前述の通り中心街にもち老人の保健を図るのである。現在県下には斯の如き精神的、肉体的に著しい欠陥があるため平常な生活を自ら弁ずることの出来ない人々が多数収容されながら彼等のために適切な医療設備は絶無である。これは老人の生存権の侵害であり、老人の虐待である。

 なお、特記したいことは貧乏線以下の人達のみが養老院がもてるのではなく、広く一般人のためにも斯の如き老人ホームが開設され老人の福祉を完うしたいことである。
9.青少年のためのリクリエーションセンター
 清澄な空気あり、水あり池あり、川あり、森あり、山あり、キャンプサイトとしては絶好の適地県下に斯の如く条件の具備した土地は少ない。此処に宿泊設備をなし都塵に汚れた青少年を清浄に自然の生活に返えしてやりたい。歌うによし、読書するによし、登山するによし、泳ぐによし、瞑想するによく、友と語るによし。青少年の心身の健全な保護育成、不良化の未然防止のために、斯る施設の一つ位い岡山市にあってもよい。

 なお、之は一般市民にも解放し許されるならば、此の広大な地域の一区を画して大した資力なき市民にも持てるバンガロー式の(当方で設計し建築する一定型式のもの)別荘を池の畔、森の傍らに持てるようにしたいものである。天満屋よりバスで二十分自転車で三十分で到着される。この別天地は市民のよき憩いの地域となる。
10.アフターケヤの施設
 結核患者のために、軽快した人達を収容して附属の農園、果樹園、養魚池等を利用して軽作業に従事させ、或は職業補導を行い実社会に復帰するまでの緩衝地帯としたい。又昼間は職場に通い夕方から翌朝まではサナトリアムのベットの如き(或は気胸気腹等もし)役割を果す寄宿舎か寮式の謂わば「夜だけのサナトリアム」でこの種の施設がないために普通のサナトリアムのベットの廻転率は悪いし、病気より一足飛びに社会復帰を急いだために再発病する人の多きは事実である。T.B治療の画龍點晴であるし、焦眉の急を要する施設である。
11.立体農業の建設
 生活改善の一つの試みとして又諸施設の食生活の自給自足の資源として立体農業をやりたい。牧場として養家鴨場、養魚場、養鶏場から乳や肉や卵や蜜を、果樹園と農園からは新鮮な果物と野菜を供給して栄養補給の完璧を期したい。そしてクルミやペカンの実る果樹の下に山羊やホルスタイン、豚が遊び肥え、乳と蜜の流れる理想郷で恵れぬ小児や長い人生に疲れ果てた老人達が喜びと希望と感謝に充ちた生活を送ることが出来たらどんなに人生は幸福であろうか。
発起人(アイウエオ順)
岡山商工会議所会頭 伊原木伍朗 岡山大学医学部附属病院長 津田誠次
大本組社長 大本百松 岡山市教育委員医師 西村伊勢松
財団法人川崎病院理事長 川ア祐宣 岡山大学医学部教授 浜本英次
医師 河原省平 医師 本城明朗
医師 神崎保正 医師 前田秀雄
黒住教管長 黒住宗和 岡山大学医学部教授 村上栄
岡山大学医学部教授 児玉俊夫 中国銀行頭取 守分十
岡山博愛会々長 更井良夫 岡山大学医学部教授 山岡憲二
岡山大学々長 清水多栄 弁護士 安井源吾
岡山大学医学部教授 高原滋夫 オリオン社長 分島年
山陽放送社長 谷口久吉